名古屋人の体の一部はモーニングでできている
日本の異界 名古屋④
◆コーヒーを注文すると、ピーナッツか柿の種が
おもな話が終わると、そういう週刊誌を双方が読むことが多い。若い男女がデートで喫茶店へ来て、二人が違うマンガ雑誌を読みふけってろくに会話をしない、というのが珍しくないのだ。ヘンなデートである。
コーヒーを注文すると、必ずコーヒーの横に小皿がおかれ、ピーナッツか、柿の種がついてくる。
地下街の喫茶店にはないかもしれないが、住宅街の喫茶店には必ずあるサービスである。あの小皿のピーナッツに東京から来た人は仰天する。
しかし、サービスといえば、名古屋の喫茶店はモーニングサービスが充実していることで有名だ。コーヒーを注文するとトーストがサービスでつく、というぐらいなら東京の喫茶店にだってあるのだが、名古屋だと、ゆで卵がつき、サンドイッチがつき、サラダがついたりするのだ。
一時そういうモーニングサービスが店と店の競争のようになってしまい、こっちはアイスクリームもつく、こっちはバイキングでより取り見取り、なんてことになっていた。そしてついには、モーニングサービス24時間実施中、という、言葉の意味から逸脱したところまで出たのである。
小倉トーストの「小倉」のルーツや、天むすのルーツなども清水義範著『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)で紹介されている。
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